治療時の麻酔のお話
2016年10月27日
こんにちは。
四国中央市坂田歯科医院 児山です。
朝晩すっかり寒くなりましたね。
そして秋の花粉症の季節です。
今年みたいに猛暑だと
秋に夏の疲れがドッとでて
花粉症の症状がひどくなるそうです。
怖いですね。
気をつけてくださいね。
さて
怖いと言えば
歯医者・歯の治療→注射→痛い!怖い!
“歯ぐきにする注射って痛いっ!!
目の前に注射の針が見えたりしたら怖い!!!
もうダメっ!!“
逃げたくなります・・・よね。
終わった後も口の中が痺れてるし
何か唇が腫れて、おぶすになった感で
憂鬱・・・ですよねぇ。
すご~くよくわかります。
でも
当院の患者さんは
“最近の麻酔は昔と違って痛くない”
と言ってくださいます。
確かに私も麻酔の注射をした時に
“ん??思ったより痛くない???“と
感じました。
以前はあんなに痛くて痛くて
涙が出たのに・・・・
昔(?)の麻酔の注射とは
どこが変わったのでしょうか?
まず・・
注射器で麻酔をする前に
表面麻酔を歯ぐきに塗布します。
針を刺すときに“チクッ”とするのを
感じにくくするためです。
注射針が当たる部分に
薬剤をそぉ~っと
そぉ~っと優しく塗ります。
ぬりぬり・・
塗る薬剤は・・
お口の中に垂れてしまわないように
ゼリー状のものを使います。
30秒程おきます。
表面麻酔ですが
結構痺れてきます。
そして、表面が痺れてきたら
注射器で麻酔をします。
なぜ
注射するときに痛いのでしょうか?
針を刺すことだけが原因ではありません。
その原因の一つが
強い力で注射液が入ることでおこる
急激な内圧の変化です。
その内圧の変化を防ぐために
当院では電動の注射器を使用しています。
電動??
これです!!
オーラスター✨
手動の注射器と違って
ゆっ~くりとしたスピードで
麻酔液を入れることができます。
そうすることで
急激に内圧が高まることを防ぎ
痛みを感じにくくできるのです。
注射器につける針も
以前のものよりも
ずっと細い針(33G)を使用します。
細い針を使用することで
痛みを軽減できるのです。
その他に・・
(まだあります。)
麻酔の液の温度を
体温とほぼ同じにするのです。
専用の容器で
液を温めておくのです。
体温と同じくらいの
37℃にしておくと
最も痛みが少ないのです。
いや~な注射の
痛みを少なくするために
歯科医院もいろいろと
努力しております。
こんなふうにして痛みを軽減することで、
患者さんの緊張を和らげることができますし
治療もスムーズにすることができます。
痛みによっておこる疼痛性ショックや
痛みに対する不安から過呼吸症候群になる
リスクも下げることができます。
いかがですか?
もう歯科医院の麻酔の注射は怖くないでしょ?
でも・・・
痛みが少なくできるのは解ったけど・・・
まだ麻酔に不安があるんだけどぉ~・・・と
ご不安に思われている方・・・
では、ここで
患者さんからよく聞かれる質問のお話をします。
“私、アレルギー体質なんだけど麻酔の薬剤って大丈夫??”
麻酔関連のアレルギーは極めて少ない頻度でおこります。
そのほとんどが表面麻酔に含まれる成分によるもので
湿疹などの小さなアレルギーです。
ご心配な方は内科等でアレルギー検査を受けてから
歯科を受診されることをお勧めします。
次に妊娠中の麻酔についてお話します。
妊娠中、特に赤ちゃんの器官が形成される
妊娠初期から4カ月くらいまでは麻酔は避けた方が良いでしょう。
麻酔の薬剤は安全性が確認され、信頼できる薬剤です。
安定期に入ってからの使用は問題ありません。
ただ、妊婦さんの精神的、肉体的なストレスの事を
考慮すると、可能な限り避けていただく方が
良いと思います。
妊娠中にむし歯の治療をしなくてもいいように
歯科医院での定期チェックをお勧めします。
次に
“以前麻酔が全然効かなかったことがあるんです・・・”
こういうお話もよく耳にします。
なぜ麻酔が効かなかったのでしょうか?
理由がいくつか考えられます。
その一つは、
患者さんの服用しているお薬によるものです。
お薬によっては麻酔が効きにくくなるお薬があります。
必ず事前に服用中のお薬をお知らせください。
他には
炎症が強いと麻酔が効きにくいことがあります。
薬剤の効果を打ち消す作用が働くからです。
炎症が強くて痛みに敏感になっているときほど
麻酔が効きにくいようです。
痛みがひどくなる前に
受診されることをお勧めします。
麻酔が効きにくい場所もあります。
厚く硬い骨で覆われている下顎は
特に麻酔が効きにくい場所です。
あまりにも麻酔が効きにくいときは
伝達麻酔という広範囲にバッチリ利かせる
麻酔を使用します。
伝達麻酔は広範囲に、2~3時間程度効きますので
親知らずを抜くときなどにも使用します。
最後に麻酔前・麻酔後の注意点について
お話しますね。
~高血圧、心臓病、動脈硬化などの持病がある方~
緊張のため血圧が上がったり、
偶発症を起こしてしまっては大変です。
持病の具合や治療の内容によっては
静脈内鎮静法や全身麻酔下で治療を受ける方が
良い場合があります。
医科の主治医とご相談してください。
~口元のエチケット~
麻酔後は唇も痺れています。
気をつけていても
ついよだれが垂れてしまうことがあります。
抜歯したときは血の混じった唾液が出ますので
口元をサッと押さえられることができる
ハンカチやティッシュを持っていると安心です。
~お子さんの麻酔後に注意~
麻酔後は唇や頬が痺れています。
小さな子供さんは痺れている部分を
咬んだり、吸ったりして
ひどく傷つけてしまうことがあります。
傷ついた部分は
麻酔が切れた後に腫れて痛みがでますので
痺れている間は注意してみてあげて下さい。
~治療後のお食事に気をつけてください~
麻酔は2時間ほど効いています。
その間はお食事がうまくできません。
唇や舌や頬が痺れていて
上手く動かすことできないので
傷付けてしまうことがあります。
お食事は麻酔が切れてからの方が良いと思います。
その方が美味しくいただけますよ。
麻酔は患者さんの味方です。
怖くない・・怖くなぁ~い。