妊婦さんと歯科治療
2018年6月26日
こんにちは。
四国中央市 坂田歯科医院 児山です。
梅雨ですねぇ・・・
雨の日は憂鬱ですね。
坂田歯科医院のスタッフはほとんどが
車で通勤です。
雨の日は特に道も混むし・・
車の乗り降り時にどうしても濡れてしまう・・・
せっかくキレイに整えたヘアスタイルがぁ~っ・・・
それだけで気分が沈みがちです。
まだまだ梅雨はこれからなのに・・・
梅雨明けが待ち遠しい日々が続いています。
さて、今回は妊婦さんの歯科治療についてお話をします。
このことは
以前にもお話をしたことがあります。
一般に・・・
“妊娠すると歯が悪くなる”とよく言われます。
これは本当です!
どうして歯が悪くなるのでしょうか??
“赤ちゃんにカルシウムをとられてしまうから~”って
昔から言われていますよね。
これは違います!!
お腹の中の赤ちゃんはそんな悪さはしません(笑)
では何故??
原因は一体何????
それはね・・・
妊娠すると妊婦さんのからだに
お口のトラブルを起こしやすくなる
大きな変化が起こってくるからです。
まず・・・
「つわり」です。
歯ブラシをお口に入れるだけでオェッとなってしまうので
丁寧に歯みがきが出来なくなってしまう。
歯みがき剤の味が気になって
歯みがき剤(むし歯予防に有効なフッ素)が利用できない。
オェッとなることで、お口に胃液が逆流して
強い酸に触れた歯の表面が溶けてしまう。(酸蝕歯)
また、味の好みが変わってしまう妊婦さんもいらっしゃいます。
甘いものや酸っぱいものが好きになり、
むし歯菌の大好物の砂糖をたくさん摂ってしまうことで
むし歯リスクが高くなります。
柑橘類などの
酸っぱいものをたくさん摂ると
強い酸が歯に触れる時間が増えてしまい
歯の表面が溶けやすくなります。
お腹が大きくなるにつれて
胃が圧迫されて一度にたくさん食べることが出来なくなります。
そのためどうしても間食が必要になります。
ちょこちょこと食べることで
むし歯菌はエサの回数が増えて大喜びです。
また、妊娠中は・・・
ホルモンの影響で唾液の量が減ってしまいがちです。
唾液の量が減ると、
お口の中を洗い流す自浄作用が弱まってしまうのです。
もちろん、唾液による歯の再石灰化作用も弱まってしまいます。
この変化が
“妊娠すると歯が悪くなる”原因なのです。
また・・・
妊婦さんの体の中では
たくさんの女性ホルモンが分泌されています。
歯周病菌は・・・
このホルモンが大好きなんですって!!!
たくさん分泌される女性ホルモンを
たくさん食べてパワーアップするのです。
そのため・・・
普段歯ぐきに炎症が無い人でも
歯周病の初期症状の歯肉炎になりやすくなるのです。
症状が進むと歯周炎になってしまいます。
歯周病は低体重児出産(早産)に関連すると言われています。
ちょっと怖いですね。
妊婦さんも・・・
むし歯の治療も歯周病の治療も
重症にならないうちに治療する事をお勧めします。
ご出産後は子育てで忙しくなります。
自分の歯の治療はついつい後回し・・・
ということになってしまいがちです。
でも・・・
“妊娠中に歯の治療をしても大丈夫なのかなぁ??”
“お腹の赤ちゃんに影響はないのかなぁ??”と
あれこれと心配されますよね。
大丈夫です!!
妊婦さんも基本的には歯科治療を受けられます。
歯科治療を受けられる時期と
注意点についてお話をしますね。
まず、妊娠初期(妊娠0~15週)
つわりによって歯みがき不足になりがちです。
むし歯や歯周病になりやすい時期です。
歯科治療時の注意点・・
赤ちゃんの重要な器官が作られる大切な時期です。
痛みや炎症を止める応急処置にとどめておくのが良いでしょう。
本格的な治療は安定期になってからか
出産後に始めてください。
妊娠中期(妊娠16~27週)
つわりが徐々におさまって歯みがきがしやすくなる時期です。
でも、食欲が増して間食の回数が増える時期でもあります。
むし歯リスクが高まります。
歯科治療時の注意点・・
安定期に入ります。
抜歯などの外科処置を含む
一般的な歯科治療を受けることが出来ます。
必ず産科の主治医の許可を受けてから治療を始めてください。
妊娠後期(妊娠28~39週)
赤ちゃんが急激に成長する時期です。
胃が圧迫されて一度にたくさん食べることが出来ずに
ちょこちょこ食べの時期でもありますので
むし歯リスクも高くなります。
歯科治療時の注意点・・
仰向けで治療を受けると
大きくなった子宮に大静脈を圧迫されて
低血圧症をおこすことがあります。
チェアの背を少し起こしてもらったり
短時間の治療にしてもらうなど
体調に合わせてもらって下さい。
また・・・
赤ちゃんへの影響もご心配でしょう。
歯科の局所麻酔はお産に使用されているものと同じです。
飲み薬も比較的安全性が高いお薬を
必要最小限処方するようにしています。
歯科のレントゲン撮影は
治療をするためにはとても重要な検査です。
歯科のレントゲン撮影の放射線量も
デンタルレントゲン1回で
約0.008mSvです。
50mSv未満の放射線量は
胎児への影響は認められないという
結果が出ています。
歯科のレントゲン撮影は安全です。
さらに・・・
レントゲン撮影時に
防護エプロンを着ると
更に被ばく量を減らすことが出来ます。
安心して歯科を受診して下さい。
そうそう・・・
生まれたての赤ちゃんのお口には
むし歯菌はいません!!
生まれてきて
周囲の人からむし歯菌をもらいます。
特に赤ちゃんと一緒にいる時間が長い
お母さんからむし歯菌が移ることが多いのです。
お母さんは責任重大です。
赤ちゃんの将来のためにも
お母さんをはじめとする
周囲の方々が
キレイなお口の状態を保つことが
とても大切です。
まず・・
歯科健診を受けましょう。
そして・・・
お口の中が健康な状態で
ご出産をお迎えください。
どうぞ元気な赤ちゃんを❤